はじめに
2026年10月5日の両学長ライブでは、「金利サバイバル」として住宅ローンの変動金利が大きなテーマになりました。
今回の配信時間は1時間38分16秒です。YouTubeの日本語自動字幕を取得できたため、公開字幕をもとに内容を確認しています。音声を改めてSTTへかけ直す処理は行っていません。
ライブの中心は、変動金利で住宅ローンを組んでいる人が知っておきたい三つのポイントです。
- 変動金利はどのような仕組みで決まるのか
- 金利が上がったとき、毎月の返済額はいつ・どの程度変わるのか
- 金利上昇局面で家計を守るために何ができるのか
住宅ローンは数千万円単位の契約になることも珍しくありません。それにもかかわらず、「変動金利の方が安かったから」「銀行に勧められたから」という理由だけで選び、見直しルールまで把握していない人もいます。
特に重要なのが、金利が上昇しても毎月の返済額がすぐ増えないケースです。一見すると影響がないように見えますが、元金と利息の内訳はすでに変化している可能性があります。
この記事では、ライブで説明された内容を初心者向けに整理しつつ、2026年10月5日時点の日本銀行や金融機関の公式情報も確認しながら解説します。
今日のライブの結論
今日の内容を先にまとめると、変動金利の住宅ローンを利用している人が確認したいのは次の三点です。
- 自分の適用金利と次の金利見直し時期を確認する
- 5年ルール・125%ルールが自分の契約にあるか確認する
- 金利上昇に備えて家計・繰上返済・借り換えを順番に検討する
「金利が上がったらすぐ固定金利へ変更すればよい」という単純な話ではありません。将来の金利水準を正確に予測することはできず、固定金利へ変更する時点では固定金利側もすでに上昇していることがあります。
大切なのは、将来を当てることではなく、金利が上がっても家計が破綻しない状態を先につくっておくことです。
変動金利は何で決まるのか
ライブでは、住宅ローンの変動金利を理解するための要素として、次の四つが紹介されました。
- 政策金利
- 短期プライムレート
- 基準金利
- 引き下げ幅・優遇幅
名前だけを見ると難しく感じますが、流れで考えると理解しやすくなります。
1. 政策金利
政策金利は、日本銀行が金融政策を行ううえで重要な金利です。
2026年10月5日時点で、日本銀行は無担保コールレート翌日物を「1.25%程度」で推移するよう促す方針を示しています。補完当座預金制度の適用利率も2026年9月24日以降1.25%です。
政策金利が上がると、銀行が資金を調達する環境にも影響します。その結果、短期プライムレートや住宅ローンの変動金利にも波及する可能性があります。
ここで覚えておきたいのは、「日銀が利上げした翌日に、自分の住宅ローン金利が同じ幅だけ上がる」という単純な仕組みではないことです。金融機関ごとに基準や見直し時期が異なります。
2. 短期プライムレート
短期プライムレートは、銀行が信用力の高い企業へ短期で貸し出す際の基準となる金利です。
多くの銀行では、住宅ローンの変動金利を決める際の重要な参考値として使われています。
ライブでは「政策金利→短期プライムレート→住宅ローンの基準金利」という流れが説明されました。実際、三菱UFJ銀行も、日銀の政策金利引き上げが短期プライムレートの見直しにつながり、一定のタイムラグを経て住宅ローンの変動金利へ反映されると案内しています。
3. 基準金利
基準金利は、住宅ローン金利の土台になる数字です。
ただし、利用者が実際に支払う金利がそのまま基準金利になるとは限りません。
ここに「引き下げ幅」や「優遇幅」が加わります。
4. 引き下げ幅・優遇幅
金融機関は、審査や商品条件などに応じて基準金利から一定幅を差し引き、実際の適用金利を決めています。
たとえば基準金利が3%でも、優遇幅が2%なら適用金利は1%という考え方です。
そのため、自分の住宅ローンを確認するときは広告に表示された新規借入金利だけを見るのではなく、
- 現在の適用金利
- 基準金利
- 優遇幅
- 優遇が全期間続くのか
- 次の見直し時期
まで確認することが重要です。
金利の見直しと返済額の見直しは別物
今日のライブで特に重要だったのが、「金利が変わる時期」と「毎月の返済額が変わる時期」は同じとは限らないという点です。
一般的な変動金利型住宅ローンでは、金利を半年ごとに見直す商品があります。
一方で、元利均等返済の場合には毎月の返済額を5年間据え置く「5年ルール」を採用している金融機関があります。
つまり、
「金利は上がった。でも毎月10万円の返済額は変わっていない」
という状態があり得ます。
ここで「自分は影響を受けていない」と判断するのは危険です。
5年ルールは「5年間金利が上がらない」という意味ではない
5年ルールとは、金利が上昇しても毎月の返済額をすぐには変更せず、原則として5年間同じ返済額にする仕組みです。
三菱UFJ銀行や三井住友銀行も、変動金利・元利均等返済について、金利が変更されても一定期間は返済額が変わらず、返済額の中の元金と利息の割合が変わる仕組みを案内しています。
ここが非常に重要です。
毎月10万円を返しているケースを考えてみます。
金利上昇前は、
- 元金返済 7万円
- 利息 3万円
だったとします。
金利上昇後、毎月の支払いが10万円のままでも、
- 元金返済 6万円
- 利息 4万円
のように変わる可能性があります。
口座から引き落とされる金額は同じでも、借金そのものの減り方が遅くなります。
ライブでは、この「元金の減少が遅れる」という点を強く注意していました。
5年ルールは利息を免除してくれる制度ではありません。返済額の急上昇を先送りしているだけで、金利上昇の影響そのものが消えるわけではありません。
125%ルールも「支払わなくてよい」制度ではない
5年ルールと一緒に覚えておきたいのが125%ルールです。
元利均等返済でこの仕組みを採用している金融機関では、5年後に返済額を見直す際も、新しい返済額を直前の返済額の125%までに抑えます。
たとえば毎月10万円返していたなら、次回の返済額見直し時に最大12万5,000円までという考え方です。
急に10万円が15万円や20万円になるのを防ぐための仕組みです。
ただし、125%を超える部分が消えるわけではありません。
金利が大幅に上昇し、利息が毎月の返済額を上回る場合には「未払利息」が発生する場合もあります。住宅金融普及協会や金融機関の公式説明でも、未払利息は免除されず、その後の返済計画に影響するとされています。
したがって、
「125%までしか上がらないから安心」
ではなく、
「急激な返済額上昇を抑える仕組みであり、総返済負担を減らす仕組みではない」
と理解しておく必要があります。
5年ルール・125%ルールがない住宅ローンもある
もう一つ注意したいのは、すべての変動金利型住宅ローンに5年ルールと125%ルールがあるわけではないことです。
元金均等返済では、元利均等返済と同じ5年ルール・125%ルールがない商品があります。
また、一部のネット銀行などでも、金利見直し後の返済額へ比較的早く反映する商品があります。
そのため「変動金利なら5年間返済額は変わらない」と決めつけないことが大切です。
確認する場所は、契約書、商品説明書、返済予定表、銀行の利用者向けページです。
金利1%の違いが総返済額へ大きく響く
ライブでは、残り30年・借入残高5,000万円の例として、金利1%と2%で総返済額が大きく変わることが紹介されました。
配信中の試算では、
- 金利1%:総返済額 約5,790万円
- 金利2%:総返済額 約6,650万円
とされ、その差は約860万円です。
もちろん実際の返済額は、返済方式、残期間、金利の変化、繰上返済、手数料などによって変わります。
それでも、数千万円を長期間借りる住宅ローンでは、金利差がわずかに見えても総額では大きな差になることが分かります。
「1%しか違わない」という感覚ではなく、「30年間、何千万円の残高に対して金利がかかる」という視点で見る必要があります。
金利上昇への対策1:まず家計を見直す
ライブで最初に挙げられた対策は、家計の見直しです。
非常に地味に見えますが、これが王道です。
住宅ローンの金利上昇は、自分の努力だけでは止められません。
しかし、
- 収入を増やす
- 固定費を減らす
- 不要な支出を整理する
- 生活防衛資金を確保する
といった行動は自分でコントロールできます。
ライブでは、転職、副業、共働きなども収入を増やす選択肢として挙げられていました。
毎月の住宅ローン負担が将来2万円、3万円増えても耐えられる家計を作っておくことは、金利予測より再現性の高い対策です。
特に見直したいのは、住宅費以外の大きな固定費です。
通信費、保険料、自動車関連費、利用していないサブスクリプションなど、毎月継続して出ていく支出を減らせれば、その効果も継続します。
金利上昇への対策2:繰上返済を検討する
二つ目は繰上返済です。
住宅ローン金利が高くなれば、繰上返済によって確実に将来の利息負担を減らせます。
ライブでは、住宅ローン金利が仮に3%なら、繰上返済は「確定3%相当の負担削減」と考えることもできるという説明がありました。
ただし、繰上返済には注意点があります。
手元の現金を使い切ってしまえば、病気、失業、修繕費、教育費など急な支出へ対応できなくなるからです。
先に確保したいのは生活防衛資金です。
そのうえで余裕資金から返済するのが基本になります。
返済額軽減型と期間短縮型
繰上返済には大きく二つの方法があります。
返済額軽減型は、返済期間を変えず毎月の返済額を減らします。
期間短縮型は、毎月の返済額を変えず返済期間を短くします。
一般には総利息を減らす効果は期間短縮型の方が大きくなりやすいですが、今日のライブでは「金利上昇で毎月の負担が苦しい」という目的なら、返済額軽減型が選択肢になると説明されました。
どちらが良いかではなく、「何を改善したいか」で選ぶことが重要です。
金利上昇への対策3:借り換えを比較する
三つ目は借り換えです。
現在より低い金利の住宅ローンへ乗り換えれば、利息負担を減らせる可能性があります。
ただし、金利差だけで判断してはいけません。
借り換えには、
- 事務手数料
- 登記費用
- 司法書士費用
- 保証関連費用
- 団体信用生命保険の条件
などが関係します。
したがって、比較するときは「新しい金利が何%か」ではなく、借り換えにかかる費用を含めた総額で判断します。
残高が少ない、残期間が短い、手数料が高い場合などは、金利が低くなっても借り換えメリットが小さいことがあります。
必ずシミュレーションしてから決めましょう。
変動金利から固定金利へ変えれば正解なのか
金利が上昇すると、「今から固定金利へ変えるべきですか」という疑問が出てきます。
ライブでは、この質問に一律の答えは出せないと説明されました。
理由は、将来の金利を正確に予測できないからです。
変動金利が今後どこまで上がるか、いつ下がるかは誰にも分かりません。固定金利へ変更した後に金利が下がれば、結果的に変動の方が有利だった可能性もあります。
逆に、金利上昇が続けば固定へ変更した方が安心だったという結果になるかもしれません。
これは「どちらが必ず得か」を当てる問題ではなく、
- 毎月いくらまでなら返済できるか
- 金利上昇にどれだけ耐えられるか
- 安心を優先するのか
- 今後何年その家に住むのか
を含めて決める問題です。
固定金利は、金利変動リスクを金融機関側へ移す代わりに、一般に変動金利より高めの金利を支払って安心を買う商品とも考えられます。
住宅ローン控除があるから借りた方が得、とは限らない
配信終盤では、現金一括で住宅を購入できるものの、住宅ローン控除があるためローンを組んだという話題にも触れました。
住宅ローン控除は、一定の条件を満たす住宅ローン利用者が所得税などの税額控除を受けられる制度です。
国税庁も、2026年中に居住を開始し一定の要件を満たす場合、住宅借入金等特別控除を利用できると案内しています。
ただし、「控除がある=借金した方が必ず得」ではありません。
比較するときは、
- 支払う住宅ローン利息
- 融資手数料
- 保証料
- 団信の上乗せ
- 控除で戻る税額
- 手元資金を残す価値
を合わせて考える必要があります。
制度だけを見てローンを組むのではなく、総支払額と資金計画を比較することが大切です。
今日のライブから確認したいチェックリスト
変動金利の住宅ローンを利用している人は、まず次の項目を確認してみましょう。
- 現在の住宅ローン残高
- 現在の適用金利
- 基準金利
- 優遇幅
- 次の金利見直し日
- 次の返済額見直し日
- 元利均等返済か元金均等返済か
- 5年ルールの有無
- 125%ルールの有無
- 金利が1%上昇した場合の返済額
- 生活防衛資金を除いた繰上返済可能額
- 借り換え時の諸費用
- 団信や保障内容の違い
銀行のアプリや明細だけでは分からない場合は、返済予定表や契約書を確認し、それでも不明なら金融機関へ問い合わせましょう。
確認済みQ&A
Q1. 金利が上がったのに返済額が変わっていません。影響はないのでしょうか
影響がないとは限りません。
5年ルールがある元利均等返済では、返済額が一定でも元金と利息の内訳が変わります。金利上昇後は利息の割合が増え、元金の減りが遅くなることがあります。
返済額だけでなく、最新の返済予定表で元金残高と利息の内訳を確認してください。
Q2. 変動金利から固定金利へ変更した方がよいですか
一律には決められません。
将来の金利を正確に予測できないためです。現在の変動金利、変更後の固定金利、残期間、残高、家計余力を並べて比較します。
「一番得する金利を当てる」より、「どの金利水準まで家計が耐えられるか」を先に確認する方が実践的です。
Q3. 金利上昇が不安なとき、何から手を付ければよいですか
最初は家計の確認です。
固定費を見直し、生活防衛資金を確保します。そのうえで余裕資金があれば繰上返済を検討し、現在のローン条件が不利なら借り換えを比較します。
いきなり全額繰上返済や固定金利への変更を決めるのではなく、数字を並べて順番に判断しましょう。
まとめ
2026年10月5日のライブでは、住宅ローンの変動金利を「金利が上がった・下がった」というニュースだけで見ず、仕組みから理解することの重要性が解説されました。
ポイントは次の通りです。
- 変動金利は政策金利、短期プライムレート、基準金利、優遇幅などを通じて決まる
- 金利の見直しと毎月返済額の見直しは別のタイミングになることがある
- 5年ルールがあっても利息負担が消えるわけではない
- 125%ルールも急な返済額上昇を抑える仕組みであり、総返済額を減らす制度ではない
- 契約によっては5年ルール・125%ルールがない
- 金利上昇への王道対策は家計改善、繰上返済、借り換え
- 変動から固定へ変更するかは、将来予測ではなく家計の耐久力を基準に考える
- 住宅ローン控除だけを理由に借入れが得だと判断しない
住宅ローンは長期間付き合う大きな契約です。
金利が動いてから慌てるのではなく、「自分の契約はどうなっているか」「金利が何%まで上がっても返済できるか」を数字で確認することが、最も現実的な金利サバイバルになります。